食品用放射線測定器をつくる(その9)

 RadViewer をバージョンアップしました。

ダウンロードはこちら ⇒ RadViewer0.94

主な変更点:

1: 閾値測定後、「TH テキストボックス」に値を反映し、RESTART時にはこの閾値にて測定を行います。同じ環境で連続して計測する場合、一定の閾値で測定することができます。この値は、config ファイルに保存されます。ハードウェアの変更などにより、ノイズレベルを再測定して閾値の設定処理を行いたい場合は、「TH テキストボックス」を空白(もしくは0)にしてください。(この変更に伴って閾値を画面上で微調整する機能は廃止しました)

2: アプリ終了時に、クライアントサイズなどWindow の状態を保存するようにしました。これにより、複数のスペクトルを同じサイズで比較するのが容易になりました。

3: パルス面積算出アルゴリズムにパイルアップ対策処理を追加しました。これにより、高頻度の入射によってパイルアップが頻繁に起きる場合でも正しくエネルギーを算出できる(?)ようになりました。

4: スペクトル表示画面に、単純移動平均線を描画出来るようにしました。

(こんな感じ↓)
単純移動平均線

画面右下の、「SMACount テキストボックス」の値で、区間を設定します。この値に 「0」 以外を設定すると、移動平均表示モードとなります。

5: その他。分解能改善の為の改変をおこないました。

まとめ:

 独立行政法人 産業技術総合研究所が、放射性セシウムを含む玄米の認証標準物質を開発しましたね。

 「今回頒布する認証標準物質の放射能濃度は約85 Bq/kgであり、厚生労働省による一般食品の放射性セシウムの基準値(100 Bq/kg )より若干低い。そのため、検査機関がこの認証標準物質の放射能を正しく測定できれば、基準値を超える食品の放射性セシウムの測定ができることの確証となる。」(産業技術総合研究所

 とのこと、
価格も安く食品用測定器の校正に良さそうです。

RadViewer にもまだまだ未実装の機能があるのですが・・・
ハードウェアのほうも頑張って完成させなくては(汗

PS:お世話になっている皆様へ
 それにしても、今年の夏は暑い夏でした。開発が思ったように進まずブログ更新が遅れてしまったのは、暑さのせいです(笑) というのは冗談ですが、ハードもソフトも自作の場合、何か問題があると、どちらの問題なのか?特定するのが難しいですね。特に、分解能の改善とか、測定動作の安定性などの詰めの段階になると、なかなか前進しなくなってしまいます。そんな時、同じように測定器の開発をしている仲間との情報交換はとても助かりますし、励みにもなります。これまで、いろいろな方のサポートを頂いて来ました。いまだに何の恩返しも出来ず心苦しい思いで居りますが、今後ともよろしくお願い致します♪

では、また♪

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食品用放射線測定器をつくる(その9) への14件のフィードバック

  1. Sato のコメント:

     γ線のスペクトル分析ソフトをさがして、貴HPにたどりつきました。現在、フリーソフトで定量分析ができるのは、ベクモニとFitzPeakのようですが、なかなかうまくいきません。RadViewerなら可能とのことで、V0.54からV0.9にアップしたところスペクトルが表示されなくなりました。検出デバイスは、アルマジロのType3(1インチCeI)です。もし、ソフトのデバッグを終えていましたら、DLさせていただければ幸いです。

    福島県福島市の住人

  2. Sato のコメント:

     念のため、WinXP 32で使用したら、正常に作動しました。どうやらWin 7 64bitでは難しいようです。

    • supermab のコメント:

      Sato さん

       書き込みありがとうございます。
      >どうやらWin 7 64bitでは難しいようです。

      こちらの環境も Win7(64bit)ですので、ver0.9をチェックしてみます。
      ちなみに、音声入力はPC のマイク入力ですか?それとも、USBオーディオ経由でしょうか?

  3. Sato のコメント:

     早速のご返事ありがとうございます。音声入力は、PC のマイクジャックからです。
     それにもうひとつ教えていただきたいのですが、γ線の定量は、どのようにされていますか。次のような方法が一般的なようですが、詳細は分かりません。
     スペクトル自身からバックグランドとピークの計数(面積)を選り分けて求めてその統計誤差とともに、効率、分岐比、補正を勘定してBq値を求める。

    • supermab のコメント:

      Satoさん

      >音声入力は、PC のマイクジャックからです。

      それでしたら、安価なものでも良いので、USBオーディオを入手されたほうが良いと思います。PCのUSB電源のノイズ品質はかなり悪いので、それだけでも分解能が改善します。

      >スペクトル自身からバックグランドとピークの計数(面積)を選り分けて求めてその統計誤差とともに、効率、分岐比、補正を勘定してBq値を求める。

      そのようにしています。RadViewer はコベル法で算出しています。

      ただし!「 測定した係数率が、何ベクレルに相当するか?」は測定器によって違います。
      RadViewerでは、設定ファイルで係数を設定するようにしていますが、この係数そのものは測定器によって異なり、校正によって正しく導かれた数値でなければ意味をなしません。

      正確な校正の為には、試料とセンサー(シンチレータ)のジオメトリ(幾何学的な位置関係)を安定なものとし(決まったマリネリ容器をセンサーに対して決まった位置に配置)、放射能がはっきりと判っている体積線源が必要です。

  4. Sato のコメント:

     使用しているデバイスは、アルマジロTYPE3で、これにはUSBオーディオ機能が組み込まれています。(エネルギー分解能: Cs-134(796keV)において約8%(type-3))
     コベル法で算出しているとのことですが、これは、本ソフトの機能として利用できるものでしょうか?それともエクセルで計算するとか?
     最後になりますが、どうしてもRadViewer0.94が動きません。まず、スペクトルとパルス画面の大きさが固定されており、拡大縮小ができません。全体としての拡大縮小は可能です。またパルスは表示されますが、スペクトルは全く表示されません。0.54では動きます。
     

  5. Sato のコメント:

     パルス画面は動きますが、スペクトル画面には表示がありません。スペクトル画面にカーソルをもっていくと、チャンネルは表示されます。私のパソコンの設定に問題があるのかもしれません。
     また、相談します。ありがとうございました。

  6. Sato のコメント:

     transファイルは、私が望んでいたものです。ある程度の定量分析ができればよいので、このようなファイルは重宝します。ただし、ファイルには数値が入っていませんでした。しかし、どうしてスペクトル画面の表示がおかしいのでしょうか?32bitで?

    • supermab のコメント:

      Sato さん

       入力波形が表示されるのに、スペクトルが表示されないということは、閾値を超えたパルスが入ってきていないということだと思います。試しに、TH に低い数値を入れてみてはいかがでしょうか?
      パルス波形を見ながら、マイクの音量を変更してみるのも手ですね。閾値を超えても、パルスの重複や形状を監視しているので、検出されない場合もあります。あまりTHが低すぎる(マイクボリュームが高すぎる)のもいけません。どんな波形が入っているか(回路の積分時定数)によって、これらの条件もパラメータで変更することはできるのですが、ちょっと複雑な操作になります。

  7. Sato のコメント:

     今、Ver0.54とVer0.996を同時に動かしています。
    Ver0.54
     TH=-546, Cs137のスペクトルが112KeVに表示されている(662KeVのはずだが)。K40の表示が左端にある?

    Ver0.996
     スペクトル表示されず。TH=-500, pulse,countとも0

  8. Sato のコメント:

    Ver0.94でLogbaseを変化させたところスペクトルが表示されました。ただし、Logbase 1.0では表示されません。TH=-3030

    • supermab のコメント:

      Sato さん

       今、最新版をチェックしています。
      パラメータが多いので、設定方法なども取りまとめてUPしたいと思いますので、
      しばらく時間を頂戴します。数日中にはUPできると思います。

  9. Sato のコメント:

     最新版、そろそろですかね~。

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