食品用放射線測定器をつくる(その10)

食品用放射線測定器のプロトタイプがようやく組みあがり、RadViewer にコベル法を実装しました。
前回の記事で紹介した「放射性セシウムを含む玄米の認証標準物質」(Cs分析用玄米)も入手したので、
さっそく校正作業をしてみました。

プロトタイプの概要

シンチレータ: 井戸型 2inch NaI(Tl)
(※:写真左側のもの)

遮蔽容器: 鉛50mm

回路:電源、アンプ、USBインターフェース

という構成です。

では、計測してみましょう。

バックグラウンドを計測して登録する

まず、セシウム領域の計算を正しく行えるようブランクの計測をたっぷりと20時間行って、
BG(バックグラウンド)に登録しました。

(こんな感じ↓)

計測過程の記録↓

遮蔽空間は、入射する放射線が少なく、パルスが少ないので数値が安定するのに長時間を要します。10時間ほど計測すると、測定結果がかなり安定してきますが、計算精度を考慮して20時間の計測を行いました。これで、バックグラウンドの影響を排除した計算をすることができます。

ブランクを計測してみる

さて、BG を登録したのでもう一度ブランクを計測してみます。空っぽの状態ですので、「0 Bq/kg」 と計算されるはずです。

(こんな感じ↓ )

登録したBGの計測時にも数値が安定するのに10時間を要しました。動画で行っているブランクの計測は3時間しか行っていませんので、検出下限も60Bq/kg 以上と高く、計算結果は有意なものではありませんが、つまらないので計測を終了しましたw

やさしおを計測してみる

食品の多くはカリウムを含み、ひじきなどの海藻類やバナナなどには比較的多量のカリウムがあります。カリウムには放射性の K40 が一定の割合で含まれているので、これらの食品からは K40 特有の放射線が出ています。セシウムの放射線を正しく計算する為に、K40 の影響を排除する必要があります。
そこで、RadViewer がK40の影響を受けずに計測出来るか(?) 検証するために、塩化カリウムを主成分とする「やさしお」の計測を行ってみました。

(こんな感じ↓)

(※:この計測では、RadViewer の「AutoTracking」機能を使っています。)

この結果から、カリウムが多量に含まれる試料の計測も正しく行える事が分かりました。

Cs分析用標準試料(玄米)を計測してみる

つぎに、実際にCs含有量の正確に分かっている試料を使って、正しい計測値が得られるか(?)
やってみました。

(これ↓)

産総研の標準試料はじつにありがたいですね~! これがなかったら、正しい校正作業を行う事は出来ないと思いますよ(?)
それに安い!(笑)

井戸型容器に68.3g 充填して計測してみました♪

(こんな感じ↓)

井戸型シンチレータを使用している為か、スペクトルが今一つ不明瞭なのですが、
統計処理によってはじき出された数値は正しく 85Bq/kg 近傍に落ち着きました。

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計測経過はこんな感じ↓

スペクトルデータはこちら↓

まとめ

線量の高いCs基準線源や、数100Bq/kg の試料だと、スペクトルからセシウムの有無が一目瞭然ですが、汚染度が低くカリウムを含む試料の場合は、セシウムのピークが埋もれてしまって目視で判断するのが難しくなります。
正確に線量の分かっている体積線源を使って校正した係数で統計処理するのが正確な測定のキモですね。

では、また♪

PS:お気軽にコメント頂けると嬉しいです^^

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